Childhood friend

4/17
前へ
/114ページ
次へ
「……はあ」  これから起こる騒動を考えると、自然とため息が口をついて出た。  とりあえず、このままだと風邪引くな。  肌にべったりとくっついた制服のシャツが気持ち悪い。靴下やズボンもずぶ濡れの状態。  俺はさっさとそれら全部を脱ぎ、その辺に放り捨てた。  現在トランクス一枚。 「はっくしっ!」  思わず、くしゃみが出た。  やべっ、早く服着よ。  母親が持ってきたタオルで全身をくまなく拭いていく。頭も濡れていたので、拭いておく。  数分後、ようやく全身から水滴を拭き取った。  そして、着る服を取り出しにタンスに向かったその時  ずだだだだだだっ!  という、階段を荒々しく駆け上がってくる音が聞こえてきた。  部屋の扉が勢いよく開けられ、一人の少女が飛び込んでくる。 「陽平っ! この変態スケベ! 何いきなり、脱衣場のドア開けてるのよ! よくも、あたしの着替えを――」  少女は部屋に入ってくるなり、いきなり憤怒の形相で、怒鳴り散らし始める。 「……おい」  が、その言葉を俺は遮った。 「何よっ!」  怒鳴っていたのを中断された怒りもそのままに、予想通り俺に突っかかってくる。  そんな、怒りの余り、現在の状況を全く理解出来てない少女に、俺は親切に教えやる。 「お前が俺に言いたいことを、そのままお前自身に返してやる」  少女は、俺の言った意味が分からなかったのか、怪訝な表情を浮かべた。  苛立ちを声に乗せて、また喋り始める。 「はあっ!? 何のこと…………」  しかし、威勢良く喋っていた少女の口が急に動きを止めた。  やがて、顔が徐々に朱色に染まっていく。  現在の状況。  俺は着替え中だ。着ているのは、トランクス一枚。  つまり、先ほどの互いの立場を綺麗に逆転した状況である。 「わ、わわ、わわわっ!?」  少女は顔を真っ赤にしたまま、慌てて部屋の外に出ていった。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7167人が本棚に入れています
本棚に追加