Childhood friend

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 一体何なんだろうな。  学校に着いてから、ずっと寒気がしている。  朝、亮とトカゲに顔色が悪い、と二人揃って言われた。教師の何人かにも言われている。  何か良くないことが起きる予感がしていた。  よく言われることだが、悪い予感は当たる。  キーンコーンカーンコーン 「起立、礼」  クラス委員の号令で四限目が終わり、昼休みが始まる。 「陽平、購買行かねえか?」  早速トカゲが近寄って来た。 「今日、新作の鹿児島産黒豚を使用した特製豚カツサンドが発売されるんだぜ!」  興奮した様子でトカゲがまくし立てる。  “鹿児島産黒豚を使用した特製豚カツサンド”には惹かれるが、行くわけにはいかない。 「ほら、早く行こうぜ」  じれたのか、トカゲが俺の腕を引っ張り、無理やり立ち上がらせようとする。 「陽平は無理だって」 「なんでだよ」  何時の間か自分の隣りに立っていた亮に、トカゲが視線を向けた。 「お前だって、わかってるだろ」  そう言って亮が肩をすくめるのと同時に  ガララ  教室の後ろの扉が音を立てて開く。 「ほら、おいでなすった……って、あれ?」  亮が意外そうに目を丸くした。  そこにいたのは、美沙だった。  美沙は教室中を見回し、俺たちの姿を見つけると、近寄って来た。 「美沙がこのクラスに来るなんて珍しいな。どうしたんだ?」 「ちょっとね……。ねえ、一緒に食堂に行かない?」 「はあ!?」  美沙の提案に、俺は露骨に不審気な声を上げた。 「べ、別にたまにはいいじゃない!」  美沙が顔を赤くしながら怒鳴る。  どういう風の吹き回しだ?  中学の途中までは、昼食を一緒に食べていた。だが、少なくとも高校に入ってからは一度もない。  冷やかされるから、と先に断ったのは美沙だ。  何か、心境の変化が?  残念ながら、思い当たることが一つあるな。
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