Childhood friend

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  「陽平くん! お待たせ!」  元気に声を上げ、おそらくは原因だろう人物が教室に飛び込んで来た。  例のごとく、手には二つのお弁当。 「あちゃー……」  最高のタイミングに、俺は思わず頭を抱える。 「……え?」 「あ……」  互いに気付いた和泉と美沙との間に、微妙な雰囲気が漂う。 「……ん?」 「ほう……あ、サンキュー」  部外者二人もそれぞれの反応。 「あ、やっぱりいいや」  そう言って美沙は、止める暇がないほどの速さで教室から立ち去った。 「私たちも早く行こう?」  和泉に引っ張られ、俺も教室の扉に向かう。 「何だよあいつ。めちゃくちゃムカつくっ! 両手に花でウハウハですか!? けっ、もういいよ! 俺一人で鹿児島産黒豚を使用した特製豚カツサンドを堪能してやるからよ!」 「おい、トカゲ!」 「何だよ! 俺を止めるな、亮! 俺は行かなくちゃいけないんだ!」 「別に止めはしないが、その特製豚カツサンド、限定五個までって知ってるのか?」 「マジか!?」 「大マジだ。四限が終わる前にフライングスタートした連中に、全部買われただろうな。ここにも一個あるし」 「なんで持ってんの!?」 「さっき俺のファンの子がくれた」 「俺にもくれ!」 「嫌だ」 「なら、力ずくで奪うまでだ!」 「亮様に手を出すな!」 「触れるな、変態!」 「え? ちょ、君らどこから、ってぎゃあああっ!!」  そんなBGMを耳にしながら、俺たちは教室を後にし、いつも通り屋上に向かう。  悪い予感はこのことだろうか、と思ったがどうやら違うようだ。  寒気は消えていない。  今後、何も起こらないことを切に俺は心の中で祈った。  だが、俺はわかっていなかった。  しなくてもいい余計なことをする奴は、どこにでもいるのだ。それも大概が決まって、ごく身近にだ。
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