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一限目地理。
睡眠…
二限目現代文。
爆睡……
三限目数学。
当てられたから、答えた。
四限目数学。
失神………
そして、時間は昼休み。
「どうしたんだ、お前?」
人の……間違えた。爬虫類の鳴き声が聞こえる。
「陽平が授業中寝るなんて珍しいな……って、聞いてる?」
聞いてない。
「おーい、陽平? 無視するな~」
「…………ぐぅ」
「寝るなっ!」
トカゲが何か言ってるが無視無視。今日は、あまり動き回らない方がいい気がする。なんとなく……。
「トカゲ、放って置け。陽平は今、新たな女子と……んぐっ!?」
俺は光の速さで、余計なことしか言わない亮の口を塞いだ。見ろ、トカゲの目がジト目に……あぁ、めんどくせぇ。
「新たな女子って、何だ?」
案の定、トカゲが詰め寄って来た。ウザい。必死なのが尚更ウザさを煽る。このギャルゲーヲタが。
「実は今朝、河瀬さん並みに可愛い女子と会って、そのまま二人はこげふっ!」
「げばぁっ!?」
いつの間にやら脱出していた亮が、再び余計なことを言い始めたので、腹に拳を埋めて黙らした。俺の体がブラインドになって、誰にも見えなかったはず。亮親衛隊にもバレてない。トカゲはついで。
因みに威力は、トカゲ=亮×10な感じ。トカゲなら平気だ。
「その……女子って……誰だぁっ!?」
「げっ!?」
亮への拳の10倍の威力でも足りないのか!? トカゲの女に対する執念は尊敬出来るものがあるな……いや、やっぱ尊敬したくねえ。
「誰のことだぁっ!?」
「ウゼえっ!」
さっきの二倍の威力の拳を顔面にぶち込む。これなら、さすがに……
「今の俺は不死身だぁっ!!」
鼻から血を噴射しながら、トカゲが雄叫びを上げる。ゾンビ爆誕!? 生まれて欲しくなかった!
周りの人間が完全に引いてる。俺も逃げたい。近寄って来るな!
「お、い……」
不意に袖を引っ張られ、後ろを振り向くと亮がいた。
「顔色悪いぞ。保健室に行ったらどうだ?」
「誰のせいだ。それより、あれ」
亮が教室の入口の方を指差す。
「あん?」
間近まで迫って来たゾンビを蹴り飛ばし、亮の指の先を視線で追った。そして、硬直した。
「ん?」
蹴り飛ばされたゾンビもそちらに視線を向ける。
視線の先には、朝の少女が教室の中を伺う姿があった。
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