Reckless girl

12/21
前へ
/114ページ
次へ
   二人の鉄拳制裁を食らった両頬を押さえつつ、俺は午後の授業を受けていた。だが、優花のことを考えているので、先生の言葉は右耳に入って左耳から抜けていき、ほとんど聞いていない。  ある程度考えを纏め、俺は授業中にも関わらず携帯を開いた。そして、和泉と美沙と亮にメールを送る。 『今日、一緒に帰らないか?』  すると、間髪入れず返信が来た。亮からだ。 『部活があるから無理』  まあ、だろうとは思ったが。亮はサッカーの推薦で来ているからな。無断欠勤は絶対に許されないのだ。  後の二人は部活どうかな? ちなみに、和泉がバレー部で美沙がバスケ部。  と思ってると、美沙からメールが返ってきた。 『あんたから誘うなんて珍しいわね。まあ、別にいいわよ』  美沙が帰れる、ってことは和泉は無理だな。  うちの体育館は一つしかないから、半面を女子バレー部と女子バスケ部が交互に使っている。だから、今日はバレー部の日だということだ。  ……と、メールが来た。和泉からだ。あいつは優等生だから、授業が終わるまで返さないと思ったんだが。 『今日はバレー部休みだから大丈夫だよ♪ 後、授業中に携帯触っちゃダメだよ?(笑)』  可愛く怒られた……って、俺の精神がトカゲに毒されてる気がしてならない。  てか、バレー部ないなら今日バスケ部の日じゃん。美沙の奴、サボる気か。 「おい、松永。アセチレンに硫酸水銀(Ⅱ)を触媒として水を付加させると、どんな反応をするか、説明してみろ」  俺が思索にふけっている最中に、化学の教師が当ててきた。どうも俺はこの学校の教師陣に、特に男性教師に嫌われてる気がする。 「不安定なビニルアルコールを生成するが、直ぐに安定なアセトアルデヒドに異性化する」 「ちっ、正解だ」  舌打ちしやがったよあの野郎。教師が一生徒に舌打ちとかして良いわけ? 良いんだったら、日本の教育制度を疑うぞ。まあ、あんなハゲのことはどうでもいいんだけどな。  俺は和泉と美沙に再度メールを送る。 『なら、終礼が終わったら校門の所に集合な』  決して集合を教室にはしない。したら、色々とややこしいことになるのは、わかりきっているからだ。  二人からの了承のメールを待ちながら、俺は再び優花のことを考え始めた。  この後、化学の教師が俺に三度当ててきたが、全部答えてやった。ざまあみろ。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7167人が本棚に入れています
本棚に追加