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こいつの名前は伊達亮(だてりょう)。
身長は俺よりちょいと高め。
だが、ルックスは比べものにならない。とてつもなく美形なのだ。
さらに、インターハイ常連のサッカー部のレギュラー。
よって知名度は、和泉と良い勝負だったりする。“学園のアイドル”男版と言ってもいい。
そのせいか、ぶっちぎりの校則違反の茶の長髪に触れる教師もいなかった。
その有名人に不機嫌そのものの声で、俺は返事を返す。
「うるせえぞ」
無論そんなことで、こいつのニヤケ顔は消えない。どころか、さらなるからかいのセリフを吐いてくる。
「その割には、嬉しそうだったじゃねえか? 鼻の下が伸びてたぞ。学園のアイドルの胸は気持ち良かったか?」
「んなっ!?」
俺は亮のセリフに思わず、頭を机に打ちつけた。
必死に抗議の声を上げる。
「そんな訳ねえだろっ!?」
「さっきのことを思い出してみろ」
「さっき……?」
亮が戦法を変えた。
俺はうっかり口車に乗せられ、先のことを回想してしまう。
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