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くっつかれた右腕に柔らかな感触。
あの感じからすると、もしかすると90……
そこで俺は現在の状況を思い出す。
しまった!?
慌てて顔を上げる。
その俺を亮のより一層にやけた顔が迎えた。
「やっぱり嬉しかったんだな」
「なっ、違うって言ってるだろ!」
俺が何か言う度に、亮のにやけ顔が深まっていく。
いい加減ムカついて来たので、ぶん殴ってやろうか、との危ない考えが頭にちらつき始めた。そんなことをしたら、学内の全生徒が敵に回りかねないのでやらないが。
しかし、俺の中の怒りのボルテージは確実に上がっていく。
そんな時に不運にも ――俺にとっては幸運―― 話に割り込んで来た馬鹿がいた。
「い~や、喜んでたね! 絶対!」
微妙に殺意が感じられる声、そっちを向く前から誰かはわかっている。
「よくも、よくも和泉ちゃ――げはっ!」
誰かを殴りたい衝動に駆られていた俺は、躊躇なくそいつの腹に拳を打ち込んだ。
少し気分が晴れた。
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