New days

5/15
前へ
/114ページ
次へ
 くっつかれた右腕に柔らかな感触。  あの感じからすると、もしかすると90……  そこで俺は現在の状況を思い出す。  しまった!?  慌てて顔を上げる。  その俺を亮のより一層にやけた顔が迎えた。 「やっぱり嬉しかったんだな」 「なっ、違うって言ってるだろ!」  俺が何か言う度に、亮のにやけ顔が深まっていく。  いい加減ムカついて来たので、ぶん殴ってやろうか、との危ない考えが頭にちらつき始めた。そんなことをしたら、学内の全生徒が敵に回りかねないのでやらないが。  しかし、俺の中の怒りのボルテージは確実に上がっていく。  そんな時に不運にも ――俺にとっては幸運―― 話に割り込んで来た馬鹿がいた。 「い~や、喜んでたね! 絶対!」  微妙に殺意が感じられる声、そっちを向く前から誰かはわかっている。 「よくも、よくも和泉ちゃ――げはっ!」  誰かを殴りたい衝動に駆られていた俺は、躊躇なくそいつの腹に拳を打ち込んだ。  少し気分が晴れた。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7167人が本棚に入れています
本棚に追加