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腹を抱えてうずくまっているこの馬鹿は坂下龍大(さかしたたつひろ)。
亮と一緒で中学時代からの友人。……一応。
身長は並、成績や運動神経は並以下。あまりパッとしない奴だ。
顔は決して悪い訳ではないのだが、上記の評価と、それ以上に性格が全てを台無しにしていた。
あまりに変態なため、女子全員から避けられ続けている。
それでも本人はめげずにアプローチを続けている。哀れな ――むしろ面白い―― 奴だ。
無論手助けしてやるつもりはない。
しばらくしてトカゲ ――“龍”大だから、“トカゲ”―― は復活し、立ち上がった。
「何するんだよ、いきなり!?」
本人にとっては、至極当然の抗議を口にする。
「理由を聞かれてもな。お前がいたからとしか……」
「んだよ、それ!? 俺の存在意義はサンドバッグか!?」
俺のいい加減な発言 ――割と本気なのだが―― でスイッチが入ったのか、トカゲの目が据わった。
「俺、和泉ちゃんのこと前から好きだ、って言ってただろ!?」
「後は、沢木に市田先輩に前原、他は古賀に宮田が好きなんだっけ、お前?」
「それなのに、お前は――」
亮のキツい突っ込みを無視して、トカゲは言葉を吐き出し続ける。
というか、こいつ聞こえてねえな。
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