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「お前はいつもいつも、俺から女の子を奪っていく!」
妬みや嫉妬、怒りの感情を乗せた言葉を、トカゲは俺にぶつけて来る。
最早、魂の叫びに近かった。
そんな感情友達にぶつけるなよ……。
心の底からうんざりする。その上言ってる内容も、言いがかり以外の何物でもない。
だから、俺の答えは当然。
「はあ? 何のことだよ?」
となる訳なのだが、トカゲの機嫌をさらに損ねたようだ。
予想通りだがな。
「沢木さんは、俺がどんだけアプローチかけても、お前ばっかり気にかけて相手してくれねえし」
言ってるうちにトカゲの瞳が潤んで来た。
……泣くなよ。
「俺が一番最初に目を付けた市田先輩だってお前に告るし……しかも、それを振るお前も何様だよ!」
「うわっ……」
トカゲに急に胸ぐらを掴まれ、驚きの声が漏れた。
無理に引き剥がしてもいいが、さらに暴れそうなのでこのままにしておく。
「俺の何が悪いんだよ!? ルックスだって、お前に負けてるとは思わないのに……」
性格だろ、という言葉を寸前で飲み込む。
今言っても、火に油を注ぐだけだからな。
「キモイからだろ?」
「……あ」
亮、火に大量に油を注ぐなよ……。
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