一の夢 白のアリス

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学校帰りで確かマンホールに落ちそうになってたうさぎを助けようとして……。 「穴に落ちた。」 あたしの思考と子供の声が被った。 「その穴はこの世界の入り口。アリス、その白兎を追って。まずは黒のアリスを見つけて。」 「ちょ、ちょっと待ってよ! アンタ、誰なの? 言ってること全然意味判んないわ。黒のアリスって誰?」 かなり頭は混乱してた。冷静に考えてれば夢ってことで全部片付けられたはずなのに。あたしは途中からコレが夢なんだってことを忘れていた。だから問いかけてしまった。 相手はやはり無表情で。 「僕はチェシャ猫。白のアリス、君のもう一つの道しるべ。でも、猫は気まぐれ。ずっとそばにいるとは限らない。」 ザァァアアア 強い風の音がした。あたしが見てるその場所でチェシャ猫と名乗った子供は水に映った影のように揺れて、そうして何処からともなく消えていく。 風がおさまったときには、ただ森が静かに佇んでいた。
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