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街には夜の帳が落ち始めていた。
見上げると、角ばったビルの影が暗い森のように覆いかぶさってくるような気がする。
反して 地上は ネオンやら照明やらで 昼とはまた違った明るさの中、仕事帰りの人々で賑やいでいるのだった。
なんといってもこの通りは、この都市最大のビジネス街であり、商業地域でもある。
タチバナ セイジ は、いつもの様に いつもの道を通り ここにさしかかった。
今日も 別段何事も無く定時に退社。
―そうか、今日は金曜日か。―
いつにも増して賑やかな理由をボンヤリ考えながら歩く。
社会に出てこの方ずっと一人暮らしだ。週休2日といっても特に趣味も無い。
―そういえば、友達なんてのにも暫く会ってないよなあ―
などと心の中でぼやいていると
「ん?」
足元に何かが軽くぶつかった。
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