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―夜はいくらか涼しいとはいえ、こんなに人がワンサカ居たんじゃかえって熱気で参っちまうよなあ―
セイジは、いつもの通りのいつもの道を、頭の中でボヤきながら歩く。
今夜は夏祭りの初日。金曜の夜だ。
―ん?…金曜の夜…人混み…―
頭の中で何かがフラッシュバックする。
―なんだったろう?―
モヤモヤしながら歩いていると、もうそこは喧騒の陰の裏路上だった。
道を隔てた向こうからは賑やかな物音がするものの、こちら側といえば、半スラムといったところの住宅街である。
セイジは、この街の一角にある かなりレトロ(ボロ)なアパートに住んでいた。
もうそろそろで、そのレトロ(?)なアパートに着こうかという時、なんの気なしに チラリ と横に目をやった。
…!…
視線を前に移そうとして慌ててまた横を見直す。
「…あ!…」
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