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「…」
目を開けた…広がる視界は、あの暗い部屋ではなかった。
耳には騒がしい話し声…なにやら先程よりさらに勢いが上がっている。
「あ、お目覚め?」
「…お目覚めだよ」
横からの声、もう計算はしていないショウがいた。
「どんぐらい寝てた?」
「30分くらい」
…最近すぐ寝てしまう、そして同じ夢を見る。
一体どうしたんだろう、早くもボケの前兆が始まったのかもしれない。
ヒカルは眠たい目をこすりながら…最近こすってばかりである。
こすりながら言う。
「…で、ずいぶん旨そうなモノ食べてんじゃないすか?」
ショウは箸を片手に、おいしそうな弁当を食べていた。これは…学校近くの弁当屋で大人気の焼き肉定食弁当だ。
「もう昼か。で、俺の分はどこにある?」
「ないけどね」
焼き肉を頬張りながら、ショウはすぐに返してきた。いい匂いがしてくる、食欲をそそる最高の香りがヒカルにも流れてきた。
「腹減ったなぁー…」
「ごめん、最後の一口食べちゃった」
そう言ってから、ショウは最後の一口を口に含んだ。
「あ、てめっ!!今、間に合ったろ!?言ってから食べたろ!!」
「うるさいなぁ、自分で買ってこいよ!!」
ごもっともである…
ショウは弁当箱をごみ箱に捨てると、なにくわぬ顔で本を読み出した。
「…けち」
「だってもうかなり借金してるだろ!!」
「…はい」
ヒカルは決意した。焼き肉定食弁当を手にする!!
しかし図書室を出た瞬間、彼は夏の厳しさを感じた。
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