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体をむしばんでいく夏の強い日差しと、よけいに暑さを盛り上げるセミたちの鳴く声…
靴を履き外に足を踏み出した時には、すでに額には汗をかいていた。
「あっつーーー!!」
頭がクラクラしそうだ。
こんな中で水分をとらなければ…なるほど、熱中症になるのも分かる。
確か今夏に入ってからすでに熱中症死亡者が数人出ているらしいし…
やけに光って見える校舎。遠くの林に至っては、どこかしら変わったようにさえ思えた。
暑さのせいで、頭の回転もよくない気がする。
「こりゃあ死ぬ人も出るよ…」
あまりの暑さにあきれながら呟き、だるい足どりで歩き始めた。
風を全く感じない、ひたすらに暑い外…
「…あっちぃーー」
グタグタと夏に文句を垂れながら、汗をぬぐって昇降口を出た。
…暑いせいか、やけにダルい気もする。
…最近、睡眠をとりすぎているのかもしれない。
珍しく体調のことなんかを考えて歩いていく。
あー、暑い…
トクンッ………
「!?」
立ち止まった。
確かに今、音が聞こえた。
…あの音って…!!
すぐに察した。
あの音、雫が落ちるにしては少し奇妙な音。
トクンッ………
それは夢で聞いた、聞き飽きたあの音。
紅蓮色をした液体、あれが落ちる音だった…
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