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トクンッ……
聞こえている…
あまりの出来事に、背筋がゾッとした。暑かったのも忘れ、今やその音だけが頭にある。
…正夢!?いや、あんな暗くて機械だらけの部屋なんてしらない。
だいたい、いきなり夢と同じ音が聞こえるなんて…あるわけがない。
論理的、常識的に考えて必死に否定する。
しかし、いくら頭で否定をしたって、耳には確実にその音が入ってくる…
トクンッ…
トクンッ………
どこから聞こえるか、分からないのだ。ただ、聞こえているのは確かで…それ以外には全くわけが分からないのだ。
小さな音、決して騒がしくはないのに…やけに鮮明な音として耳が拾う。
「っあー、あー」
自分の声は聞こえる、それのBGMのような感じで聞こえるトクンッ、トクンッ…
「…わけわかんねえ」
その言葉を言っている間にも音はしていた。
…頭がおかしいのか?それとも何かの病気?…
なんだかあまりいい気分ではないが、とりあえず冷静さは取り戻した。
そのうち消えるだろ。
そう結論づけて、ヒカルは再び歩を進めた。今になって、また暑さを体感している…
校門を出ても、音は鳴ったままであった。
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