noise

12/14
前へ
/157ページ
次へ
「ありがとーね、お兄ちゃん!!」 焼き肉定食弁当を買って店を出ても、まだ耳には音が聞こえていた。 「あー、不快!!」 この暑さに加えて、やかましいエンドレスな音。腹がたってくるし、何より耳障りで仕方がない。 あっつい…うざいし…… ヒカルはアスファルトの地面に転がっていたビール瓶を、力いっぱい蹴り飛ばした。 たまったイライラをぶつけたつもり、しかしビール瓶は「吹き飛び」はしなかった。 ゴッ…という鈍い音がして、ビール瓶は転がった。 …なんと中身がまだ入ったままだったのだ。 「…いってぇ……!!」 恥ずかしかったので声は殺したが、跳びはねんばかりの痛みがビール瓶を蹴った右足に襲いかかってきた。 …ボトッ 「あ…」 不幸の連鎖。 今の心の支えであった焼き肉定食弁当…痛みで思わず離した手から落ちて、中身は無惨にも四方へ飛び散った。 ………う、そ……… 暑さ、耳障りな音…360円の損失……… なんかもう、やんなってしまった。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9345人が本棚に入れています
本棚に追加