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「ありがとーね、お兄ちゃん!!」
焼き肉定食弁当を買って店を出ても、まだ耳には音が聞こえていた。
「あー、不快!!」
この暑さに加えて、やかましいエンドレスな音。腹がたってくるし、何より耳障りで仕方がない。
あっつい…うざいし……
ヒカルはアスファルトの地面に転がっていたビール瓶を、力いっぱい蹴り飛ばした。
たまったイライラをぶつけたつもり、しかしビール瓶は「吹き飛び」はしなかった。
ゴッ…という鈍い音がして、ビール瓶は転がった。
…なんと中身がまだ入ったままだったのだ。
「…いってぇ……!!」
恥ずかしかったので声は殺したが、跳びはねんばかりの痛みがビール瓶を蹴った右足に襲いかかってきた。
…ボトッ
「あ…」
不幸の連鎖。
今の心の支えであった焼き肉定食弁当…痛みで思わず離した手から落ちて、中身は無惨にも四方へ飛び散った。
………う、そ………
暑さ、耳障りな音…360円の損失………
なんかもう、やんなってしまった。
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