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「…」
残酷にも蟻やら犬やらの餌となる弁当を諦め、ヒカルは学校に向かった…
暑さはなんだか増している気もするし、耳障りな音は相変わらず続いている。
…それに、この今も聞こえている音。
トクンッ…
トクンッ…
この音はヒカルにしか聞こえていないようだ。
「何か聞こえてるねー」くらいの会話をしてほしかったのだが、きっと誰にも聞こえていないらしい。
弁当屋で食事する人も、店員のおばちゃんも、「音」なんてことはまったく口にしていなかったし…
やはり病気だろうか?
最高に落ち込みながら、ヒカルは乏しい足取りで学校に帰った。
…トクンッ
トクンッ…
トクンッ…
あー、本気でうるさい!!「うるさい!!」。そう叫びたい気持ちは抑える…
誰かが出している音ではないだろうし、他の人には聞こえないようだ…
こんな大通りで叫びでもしたら、ヒカルが狂人みたいに見られてしまう…
それはいやだ…
トクンッ…
トクンッ………
腹が立つのを抑えて、ヒカルは学校に向かう…
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