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扉を開き足を踏み入れた。そこは天国のように居心地がよく、とても快適な涼しさを感じれる。
勉強会会場、図書室の中では相変わらずギャーギャーと騒ぎながら、みんなが昼食を食べている。
ヒカルは本を読むショウの隣に座り、大きなため息をした。
「あれ、弁当は?もう食べてきたとか?」
「そんな早く食えるか!」
心なしか、先程よりもやつれたように見えるヒカル。ショウは読んでた本を閉じて、ヒカルに聞いた。
「なに、熱中症?」
「いや、あんな短い時間で熱中症とか…モロすぎるだろ」
熱中症なんかじゃない。頭が痛いわけでも、気持ちが悪いわけでもない。
ただ機嫌は悪いけど…
「…ショウさ、今なんか聞こえてねえか?トクントクンッて…」
ヒカルには聞こえている。ずっと一定のリズムを乱すことなく、いっこうに消える気配もなく…
今もずっと聞こえている。
「別に聞こえないけど?耳なりじゃない?」
「でもずっとなんだよ、全然消えないしさ…最近ずっと同じ夢見てるって言っただろ?その夢で聞こえるのと同じのがさ、今も聞こえてるんだよ」
ショウが少しだけ考えたように黙り込み、言う。
「気のせいだよ」
…気のせい、じゃない。
今も確かに続いている。
この日、ヒカルの世界は変わった。
現実は非現実的に…
日常は非日常的に…
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