9345人が本棚に入れています
本棚に追加
快晴の青々しい空が見渡す限りをおおっている。
最近はずっと炎天下の日が続いていて、蒸し暑い毎日には汗をかかされる。
しかし、なんだかワクワクした気分にされるのだ。
騒がしい声が聞こえるのは夏休みに入ってからは毎度のこと、すでにこのギャーギャーという声には馴れている。
「…」
クーラーのきいた図書室の中では、生徒たちの雑談が広がっていた。
もはや勉強会など名前だけ、勉強をする生徒もいるがそれと同時進行で会話も進められている。
「…」
そんな騒がしさに溢れた部屋で、一人だけ動かない者がいた。図書室だけあって大量に顔を見せる本の群れ、その中の一冊を顔に乗せているのは、少年である…
「ヒカル、寝るなよ!!」
ゴッ…
声と同時に顔に衝撃が走る。
「痛っ…」
その小さな衝撃で、少年は瞼を開けた。
寝起きには悪そうなほどに騒がしい声が聞こえてくる。
ここまでうるさい部屋で睡眠をとれた自分が、正直不思議でならない。
浮かない顔、というか眠たそうな顔で目をこする少年、名は光<ヒカル>。
中学三年生、受験生真っ只中だというのにヤル気の見えない生徒だ。
………また夢を見ていた。
赤い液体、暗い部屋のあの夢。
最初のコメントを投稿しよう!