noise

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クーラーの設定温度を少しだけ上げて、ヒカルは席に戻った。 自分ですきな席を使っていいのだが、ショウの隣の席、ヒカルの席には勉強道具の一つもなかった。 「ヒカル、ヤル気ないな?」 「正解。まだヤル気にならなくて」 隣では黙々と計算式を進めるショウ。 しかし、ヒカルだって普段から何も勉強していないわけではない。 家では気がむけば自主学習をするし、授業もしっり聞いている。 実際に学力テストやら成績はショウに負けていないし、ついこの間の一学期期末テスト…あれはヒカルの勝利だった。 「どうせ夏休み後半になっても、ヤル気なんて起きないくせにー」 「起きるし!!」 向かい側で本をめくるリオ、彼女も受験生の空気をかもし出していた。 …寝ているのなんてヒカルくらいで、三年生は結果真面目に勉強に取りかかっているようだった。 「あ、クウ。ちょっと携帯貸してくれない?」 「ヒカルうるさい」 リオからの苦情は流して、ヒカルは手をのばした。リオの隣に座る同級生、來雨<クウ>はシャーペンを止めて、バッグから携帯を差し出してくれた。 「メールとか見ないでね?」 「ワンセグワンセグ…」 「ヒカル、計算してるんだけど?」 「知ってる知ってる」 ショウも軽く流して、ヒカルはワンセグを起動した。 アンテナが電波をキャッチすると、すぐに鮮明なTV画面が映った。
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