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「はぁー、宝くじ二億円連続当選だってよ。すごっ!!」
テーブルに右頬をはりつけながら、目の前に立てて置いた携帯を見ているヒカル。
二億円連続当選…
四億円もの大金が手に入るんなら、勉強なんかしていい職に就こう、とかいう目標がなくても生きていける。
「なぁー、これって幸せなのかな?」
ヒカルの不思議な質問に、ショウも携帯画面をのぞきながら返す。
「幸せだろうね、暑い中での仕事もしないで済むし何でもおおよそ手に入るだろうしね」
「急に何言い出すかと思ったら…」
ヒカルもあきれている。
「いやー、だってさ?幸せって金で決まるもんじゃないと思うし」
言って少し恥ずかしかったが、本当にそう感じていた。なんというか、大した変動もない毎日…上がりも落ちもたいして体験できない日常。
ヒカルの今のこの生活の中では、宝くじ当選というのはこれからを光らせてくれないような気がしたのだ。
「だってよー、この当選者の顔…なんか金に操られてるみたいでイヤじゃねえか?」
「はいはい、分かったからさ。確かに金がすべてじゃないけどさ、ないよりは幸せだろ?」
ショウが話をまとめるように結論づけて、宝くじなんたらの話しは終わった。
ワンセグを目の前に、ヒカルはその後もニュースを見た。リアルタイム、今まさに届けられた事件をもすぐに知ることができる…
世の中はすごい…改めて思ったりした。
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