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運命の序曲 ‐Overture‐
闇黒が絶え間なく流れゆく狭間の世界の中に、土だけが固まった偽りの大地を足場にしてそびえる壮大な城があった。薄暗く、そして荘厳な広間に七人の男女が立ち並んでいる。
「彼が……、動き出したようだな」
七人の中の一人が重苦しい声を出すと、他の者達は一斉に不敵な笑みを浮かべた。その邪悪さは、これからこの者達の起こすであろう大演劇の恐ろしさを彷彿とさせる。
「解っているな?」
他の六人は頷いたり囁き合ったりしており、含み笑いを堪え切れずに声を漏らす者さえいる。
「行け、運命は動き出したのだ」
これより始まるのは、理不尽にあてがわれた壮大なる運命に、心を繋げ立ち向かっていく『人間』達の物語。広大な道の先で聞こえるのは歓喜の叫びか惨劇の嘆きか、それとも、終焉に沈む神々の唄か……。
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