第三章 敵陣突破

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「今から、亜光速フライトに入る」  せわしなく操作をするヴァースが振り向かずに言う。  アレン達はセンティグレイドの機内にいる。パラミアフリートを出発して三十分ほど経って、間も無く次元の切れ目に到着するようだ。 「光速に次ぐ速度で、一気に次元の切れ目を守るバリアを突破する。バリア突撃の際の衝撃で、突破後のセンティグレイドの速度はほぼ元の速度に戻るはずだ。その後奴らの城に降り、最奥の部屋に行きゼロサイドを封印する。おおまかな流れは以上だ」 「質問。黒き存在やレスメインはどうする?」  手を挙げて尋ねるクロノス。 「黒き存在は道を塞ぐ奴のみ倒していけ。無駄な戦闘は極力避けたほうがいい。レスメインは相手にする場合、必ず一人までだ。それ以上相手にすると死ぬぞ」 「そんなに強いのか?」 「何度も聞くな」 「レスメインでそれなら、ゼロサイドはどんだけ強いってんだよ……」 「今度ばかりはふざけていられないぞ。しっかり掴まっておけ」  アレン達は着席し、ベルトでしっかり体を固定した。ヴァースが亜光速フライトに入る前の最後と思われる操作をした瞬間、アレンは体がその場に残り、魂だけが飛んでいるような感覚に襲われた。亜光速フライトに入り、もはや外の景色はただの線になっている。 「う、うおおっ! もはや速いのかどうかも解らない!」 「あと三秒で突入するぞ」 「えっ? 何秒だっ────うわぁおっ!」  突然、景色が見えなくなるのと同時にセンティグレイドのスピードが急激に落ちた。ベルトに締め付けられて思わず唸るアレン達。 「あれがレスメインの城か」  深呼吸を一回し、窓の外を見たアレンが呟く。暗黒の空間に壮大な城が浮かんでいた。その空間には城と大地以外何も無く、暗黒が生まれては消え去っていくシュールな世界だった。
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