第一章 指輪の力

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 アレンが怪物に向かって走り出す。光に包まれた後、アレンの手にはしっかりと剣が握られていた。アレンは飛び上がり、怪物の額目掛けて剣を振り下ろしたが、怪物はその巨体に似合わぬスピードで斬撃をかわすと、太い腕を振り上げアレンを強打した。地面に叩きつけられると同時に、アレンの足首に激痛が走る。どうやらまずい方向にひねってしまったらしい。骨も折れているような気がする。 「くそ、足が……。このヤロウめ、思い切り殴りやがって……。しかしどうする。あいつ意外と素早いな。正面から突っ込むのは危険……、げっ!?」  見ると、怪物が角を突き出し猛然と突進してくる。アレンは片足の力で地面を蹴り、かろうじて突進をよけた。 「ひゃあ、危ない!」  怪物は建物に激突し、それは粉々になって崩れた。 「馬鹿力……。でも、やっぱり頭は獣並だな。っていうか今がチャンス!」  建物の残骸をどけながら起き上がろうとする怪物の左前足に向かって、アレンは一閃を放った。斬れたところからは血も何も出なかったが、怪物は明らかに痛みを感じているように雄叫びを上げた。  痛みで叫びながら、アレンに向かって再び突進を開始する怪物。またしてもギリギリでかわしたアレンだったが、着地に失敗し転倒してしまう。怪物はまた建物にぶつかり、その時に吹き飛んだ建物の壁が転倒したアレンの両足の上に落ちてきた。 「ぐあぁっ!?」  アレンはあまりの痛みに思わず声を上げた。 「くっ、う、動けない……」  体勢を立て直した怪物がアレン目掛けて三度目の突進を開始する。アレンは乗っている壁を砕いて避けようとしたが、その足はもう限界に達していた。やられると思った、その時……。  アレンの顔の横をヒュンと矢が飛んでいき、怪物の目に突き刺さった。怪物はアレンの目の前で立ち止まったかと思うと、叫び声を上げて無茶苦茶な方向へ走り出した。熱り立って暴れまわっては、建物への衝突を繰り返した。
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