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「…なんだんだよお前マジでムカつく!!!!」
そう怒鳴り散らすと尚哉は足早に歩き出した。
「おい尚哉すねんなよ!」
一也は笑いながら尚哉を追い掛けた。
しかし尚哉は止まることなく横断歩道を渡ろうとした…
その時…
「尚哉!!!!」
「え?」
一也の大声で尚哉は足を止め横を見た。
その瞬間、凄まじい音と衝撃に近くにいた誰もが足を止めた。
そして道路には破損した車とその車に跳ねられた人が横たわっていた。
「一也ぁぁぁ!!!!!!」
慌てて尚哉は一也の元へ駆け寄った。
間一髪で尚哉を突き放し、代わりに一也が跳ねられてしまったのだ。
「だ…大丈夫か?」
一也は弱々しい声で言った。
「お前…」
「尚哉…耳貸せ…」
そう言われると尚哉は素直に自分の耳を一也の耳に近づけた。
「…………」
「…一也」
何かを小さく呟き、それを聞いた尚哉は涙を流した。
その後
一也が目を覚ますことは永遠になかった。
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