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比「さっきのコワイ話、最後はどうなるの?」
博「聞きたい?」
比「…やっぱりいい…」
博「あそう」
アタシは部屋の外にあるデッキに向かう。
波の音を聞きたかった。
夜の海は果てしなく暗やみに包まれて辺りはなにも見えなかった。
ただずっと先に灯台の明かりと、思いが一瞬のうちに消えてしまうような、波の音しか聞こえなかった。
アタシは外のデッキにある二人掛けのベンチに座る。
比(星が綺麗…)
博「キレイな星だな」
ドキッとした。
心を読まれたようだった。
山瀬が後ろに立っている。
博「また明日からロケだのCDのレコーディングだの始まるのを考えたら、憂欝だな」
比「そうだね。休みがあると、次の日いやだなぁって思うからってのもあって、休み取らなかったのもあるし。でも、礼美と政志くんにはすっごく感謝してる。すごく楽しかったから」
博「うん」
山瀬はアタシの隣に座った。
無言…。
比(気まずいなぁ…💧なんかしゃべってくれないかな💦)
博(どうしよ、なんかしゃべらないとな💦)
比・博「…あのっ!」
博「お、おまえから言えよ💦」
比「え💦いや、あんたから言ってよ」
博「えっ💦あの…」
その時、アタシめがけて蛾が飛んできた。
比「ギャァ!!」
思わず山瀬に抱きついてしまった。
比「ごめん💦」
博「いや…」
顔をあげると山瀬の顔が目の前にある。
そのままじっと見つめあっていた。
お互いの瞳を観察するように。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
しばらくの沈黙のあと、私達は唇を重ねていた。
空にはただ、何座かわからない星が、いくつも輝いていた。
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