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マンションに帰ると、礼美が書いたメモがテーブルの上に置かれていた。今日は友達と飲み会だっていってたな。『冷蔵庫にグラタンが入っています。お腹がすいたら食べてね』 アタシはグラタンをレンジで温めて食べていた。テレビをつけるとアタシが出演中のドラマがやっている。 比「相変わらず演技下手だなアタシ」 ふと、草田さんにもらった携帯番号のことを思い出した。 バッグから番号の書かれた紙を取出し、自分のケータイを開く。 比「まだ、仕事中だよな」 そうとは知ってはいたものの番号にかけてみる。 プルルル…。 プルルル…。 プルルル…。 プルルル…。 プルルル…。 比(出るわけないっつーの) プルルル…。 孝「はい」 でた。 予想していなかった自体にうろたえる。 比「あっ、あのっ、上原比菜です」孝「あ、比菜ちゃん。かけてくれたんだ。ありがとね。で、グチでも言いたくなったの?」 比「あの、そういうわけじゃないんですけど…なんか電話してみようかなって思って…」 孝「うれしい」 それからアタシ達は今何してるかとか、何が好きで、どこに行ったとか、いろんな話をした。癒された。 比「あっ!もしかして今仕事中ですか?」 孝「そうだけど、今は楽屋なの。なんかね、共演してるタレントさんが寝坊したんだって。だからその人待ち」 比「そうなんですか」 孝「そのタレントさんのおかげかな。こうやって比菜ちゃんとたくさん話すことが出来たのは」 比「そのタレントさんのおかげですね。草田さんと楽しくお話できたのは」 AD〈草田さ~ん、お待たせしました!お願いします!〉 電話の向うでスタッフが呼んでいる。孝「じゃあ、呼ばれたからもう行くね」 比「はい」 孝「比菜ちゃん…僕、比菜ちゃんのこと好きだよ」 あまりにも突然の告白で言葉が何も出なかった。 電話を切ったあとの手が微かに震えていた。
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