第5話

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マンションに帰ると、礼美が書いたメモがテーブルの上に置かれていた。今日は友達と飲み会だっていってたな。『冷蔵庫にグラタンが入っています。お腹がすいたら食べてね』    アタシはグラタンをレンジで温めて食べていた。テレビをつけるとアタシが出演中のドラマがやっている。     比「相変わらず演技下手だなアタシ」               ふと、草田さんにもらった携帯番号のことを思い出した。     バッグから番号の書かれた紙を取出し、自分のケータイを開く。   比「まだ、仕事中だよな」    そうとは知ってはいたものの番号にかけてみる。        プルルル…。         プルルル…。         プルルル…。         プルルル…。         プルルル…。         比(出るわけないっつーの)   プルルル…。         孝「はい」           でた。            予想していなかった自体にうろたえる。             比「あっ、あのっ、上原比菜です」孝「あ、比菜ちゃん。かけてくれたんだ。ありがとね。で、グチでも言いたくなったの?」      比「あの、そういうわけじゃないんですけど…なんか電話してみようかなって思って…」     孝「うれしい」         それからアタシ達は今何してるかとか、何が好きで、どこに行ったとか、いろんな話をした。癒された。 比「あっ!もしかして今仕事中ですか?」             孝「そうだけど、今は楽屋なの。なんかね、共演してるタレントさんが寝坊したんだって。だからその人待ち」             比「そうなんですか」     孝「そのタレントさんのおかげかな。こうやって比菜ちゃんとたくさん話すことが出来たのは」     比「そのタレントさんのおかげですね。草田さんと楽しくお話できたのは」               AD〈草田さ~ん、お待たせしました!お願いします!〉     電話の向うでスタッフが呼んでいる。孝「じゃあ、呼ばれたからもう行くね」            比「はい」                         孝「比菜ちゃん…僕、比菜ちゃんのこと好きだよ」                      あまりにも突然の告白で言葉が何も出なかった。                       電話を切ったあとの手が微かに震えていた。
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