第6話

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私はボイトレルームにいる比菜ちゃんを呼ぶ。 礼「比菜ちゃ~ん、山瀬クン来てるよ」 比「わかった、今行く」 なんだろ。今日は撮影とか早く終わったのかな。 なぜか、ドキドキする。 山瀬がソファに座っている。 アタシは山瀬の隣じゃなく、離れて座る。 比「今をきらめく人気アイドルが何してんの?」 博「話があって来たの」 比「?」 博「この前、ここで、温泉のときの事はシャレだって言ったことを謝ろうと思って…」 比「…あぁ、別に気にしてないから…。その場の雰囲気にのまれたんだよ、アタシ達…」 博「…………うん。そうかもな」 比「……………じゃ、この話はこれで終わり!そうそう!来月からまたツアーが始まるから、コレ、チケット」 そう言ってチケットを山瀬に渡す。 比「絶対来てよ!」 博「おう」 よし、これでモヤモヤがすっきりした……………………? 礼「山瀬クン、唐揚げ食べる?いっぱい作っちゃって、食べきれないから♪」 博「あ、じゃあいただきます」 アタシは一人、自分の部屋に戻る。 今回のツアーは特別だった。 ちょっとしたサプライズを用意している。 その計画をちょっと考えたかった。 比(やっぱ、この曲の後に入れるかな…) ツアーの構成は自分達で考える。メンバーの優里は今年は 衣裳・会場のデザイン担当。 他の二人、典香(ノリカ)とアミは選曲担当。 アタシは演出担当。 部屋の外では、山瀬が帰るような話をしていた。 博「ごちそうさまでした」 礼「いえいえ♪比菜ちゃん呼んでこなきゃ」 博「あ、いいよ。見送りなんて気持ち悪いし。いつも来てるからさ」 礼「そお?じゃ、また来てね」 博「うん」 礼「これからも比菜ちゃんをよろしくね♪」 博「?う、うん」 バタンとドアが閉まる。どうやら山瀬は帰ったらしい。 礼「比菜ちゃ~ん、山瀬クン帰っちゃったよ~」 比「あ、そう~」 礼「比菜ちゃんも唐揚げ食べる?」 比「食べる♪」 アタシは部屋を出る。 いい匂いがする。 礼「今日はね~自信あるよ♪」 唐揚げを口に頬張る。 比「うん、おいしい♪」 礼「でしょぉ。私天才だわ♪」 比「コレは唐揚げの素がおいしいんだね」 礼「ちょっと!?どういうこと!?」 ふとテーブルを見ると、ツアーのチケットがある。 比「山瀬め、チケット忘れていきやがったな。礼美!ちょっと行ってくる!」 まだ近くにいるだろう。 今追い掛ければ追いつく。 アタシは玄関のドアを開けて駆け出した。          つづく
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