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その頃比菜は…。
アタシは山瀬が忘れたチケットを渡しに、エレベーターを降りる。
オートロックの自動ドア近くまで来たところで山瀬の後ろ姿が見えた。
比(いたいた♪)
山瀬の他にも誰かいるようだ。
比(誰だ?)
アタシはずっと後ろから山瀬の肩越しに、その「誰か」を見た。
その「誰か」は、実乃だった。
比(何してんだろ)
何を話してるかは聞こえない。
その時、
実乃が山瀬に抱きついた。
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実「山瀬、わたし……」
わたしは山瀬に抱きついていた。
実「わたし…、山瀬のこと好きだから……。別に付き合ってとかいうわけじゃなくて、ただ言っておきたかっただけ」
わたしは山瀬の顔も見ずに今来た道を走りだしていた。
実(何言ってんのわたし…。)
こんなこと言うはずじゃなかった………。
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比(な、何が起こったの!?)
なぜだか冷や汗が止まらない。
山瀬がこっちを振り向こうとする。
アタシは見つかる前に、柱の影に隠れた。
ドキドキしている。
何なの……。
何で実乃は山瀬に抱きついたの…………。
頭がパニックになって訳がわからなかった。
ただひとつ、アタシの心に、ヒビが入っていく音だけが聞こえていた。
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