第7話

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柱の影に隠れたまま、アタシはこのドキドキがおさまるのを待っていた。 比(だめだ……。おさまらない……) 博巳「上原……」 山瀬が立っていた。 比(普通にしてなきゃ…。普通に) 比「あの、コレ…チケット…忘れたでしょ」 博「あ……」 チケットを受け取る山瀬。 博「あの、さっきの……」 比「ライブ…、絶対来てよね…」 山瀬の言葉をさえぎるように、そう言って、家に戻った。 博(……見られてたか……) アタシは玄関の扉を開け、真っ先に自分の部屋に入る。 礼「おかえり~あれ?比菜ちゃん? お~い、比菜ちゃ~ん」 礼美が部屋の外で、アタシの名前を呼び続けている。 アタシって、こんなに乙女だったっけ…。 柄にもなく、一粒だけ涙がこぼれた。
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