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七歳の時の夏休みのある日、真っ暗な米原駅のホームに、僕ら家族五人だけいる。何の荷物ももたず、新潟行きの夜間急行を待っている。父親の実家にむかうため。帰省する訳ではないし、旅行でもない。
どうやら、夜逃げらしいんだ。朝早く、アパートをでて、私鉄と国鉄を乗り継いできたらしい。
翌朝、新潟駅に着いた。腹減ったなぁ。なんか食いたいなぁ。しかしすぐ電車に乗り、父親の実家のある新潟県聖籠町に向かった。
佐々木駅に着いた。えっ?ここから歩くんですか?ていうか、何か食べさせて下さいよ、お父さん。喉もカラカラだよ。何か飲ませてよ、お母さん。ここからどのくらいかかるの?えっ?タクシーでいこうよ。えっ?お金ないの?バスは?えっ?走ってないの?
歩いても歩いても着く気配がない。何時間歩いたろう。ねぇ、お父さん、抱っこしてよ!もうふらふらで歩けないよ…
ねぇ、いつになったらじいちゃん家に着くのお~。
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