ひだかこういち

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携帯が鳴った。 友人のケンイチからだ。 安土に遊びに行こうという誘いだ。 勿論乗るに決まっている。 昼前に岐阜の駅で待ち合わせ。 温かな初夏の香りに包まれた岐阜駅はランチ時で賑わっていた。 ケンイチが既に待っていた。 そういえば彼も朝鮮民族だ。 ケンイチとはもう小学生の時からの付き合いになる。駅前のファーストフード店で腹ごしらえをした僕達は安土行きの快速電車に乗り込んだ。 今朝テレビを見てふと思った事をなぜかケンイチに話した。民族の話。 大和民族が嫌いか? ケンイチはキョトンとした顔をしてすぐに笑った。 「何百年前の話だよ。俺は生まれた時から日本人だし日本人だって事を誇りに思ってるよ。世界は三つしか無いんだぜ。イギリスとポルトガルと日本。こんな大国三つの中に朝鮮が独立していけるか? でも全部国が独立したら大変だな。戦争だらけで旅行に行くのもパスポートパスポートで大変だ。」 関ヶ原の山々を見ながらケンイチは笑った。 「ただ、今現在秩序が守られているから歪みが無いだけで、どこで爆発するか分からないな。実際仲間の朝鮮民族でも今更独立独立なんて活動してるやつも居るらしい。ま、織田の王様次第だね。」 確かにそうだ。 今この大国を治める国王は何代だっけ? 忘れた。 とにかく織田信政て人だ。 かなりの人格者で民衆の人気は高い。 けれど必ず織田の人間が出来た人間かと言えばそうでもない。 何十年も前に織田の人間で民族差別をする国王がいて一度日本は分裂しかけている。日本史で習った。ん? 何事件だったかな。 他にも昔織田家が日本本土を統一した折り活躍した武将達の家系が各地方の知事を勤めてきたが、先代の国王がその制度を取っ払った。 もちろんかなり揉めた。 民主主義ってやつで、一般の俺達にも知事になるチャンスが出来たって訳だ。 あ、この改革は後々称賛されるんだっけ?まぁ柴田さんや丹羽さんや羽柴さんは悲惨だがな。充分貯蓄があるだろ。我慢しやがれ。」
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