🌸🍸ｸﾘｴｲﾀｰ🍸🌸専用 小説集

帰らずの海域

「おいかっちゃん。放課後また海に行かないか？」
　教室で授業が行われている時、海の隣に座っている淳弥(アツヤ)が話しかけてきた。
　かっちゃんというのは淳弥が海を呼ぶ時のあだ名のようなものでこの淳弥は父親の漁師仲間でも一番仲の良かった五十嵐(イガラシ)さんの子供で海とは親友と呼べる程仲の良い友達だった。
　身長は海より少し小さく、性格はよく言えば活発で悪く言えば冷静に物事を考えず、なんでも突っ走るようなやつだ。その性格のせいか淳弥がよく親父さんに怒られている所を何度も目撃していた。
「いいぜ。今日は沖釣りか？」
「おうよ！　今なら脂ののった鯛(タイ)が釣れるぜ」
「わかった。じゃあ放課後いつもの場所で」
「あぁいつもの場所で！！」
　この二人が授業中に大声(主に淳弥)で話をして、後に先生にお叱りの言葉を頂戴したのは言うまでもない。