帰らずの海域

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 集合場所、停船所にいくつか止まっている船の中でもかなり小柄な船の船内で淳弥は既に出港の準備をしていた。  小柄といっても十人乗っても平気なぐらいなもので、多少遠出の漁でもできるしっかりした船だ。 「悪い。遅れた」  海が急いで船に乗り込み出港の準備を手伝った。淳弥は何も言わず準備を続けていた。遅れた理由は語らずしてわかっているからだ。  この事からわかるように母親が注意するのは出かける度、しかもわかりきったことを長々と言う為、海は毎回遅れるのだ。 「じゃあ行くか」  出港の準備が整い、淳弥は運転席を海に促した。  別に運転が出来ないわけではないのだが海の方が上手に運転できるから運転は海の担当だった。  海は運転席に座るとエンジンを起動させ、出港した。
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