帰らずの海域

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 海の予想通り太陽が水平線に沈み、辺りは船に取付られている五m先ぐらいまでしか明かりの届かないライトが照らしているだけで、それ以外は暗闇に包まれていた。  速度は普段の半分以下まで減速して、慎重に走行していた。 「参ったな。方角がわからなくなった」  突如海が真剣な面持ちで言った。もちろん淳弥は聞いた。 「なんでだ?」 「船の磁石が狂っちまってる。普通の方位磁針もこの通りさ」  海は淳弥に針がゆっくりと回り続けている方位磁針を見せた。淳弥は引き攣った表情になり恐る恐る口を開いた。 「つまり俺達は……迷った?」 「そういう事。俺達に残された道はこのまま走り続けて港を目指すか、大人達の救援を待つかの二つ」  二人はあれこれと話し合った末、走り続けて大人達に見つけてもらおうということになった。
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