小さな命

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「お母さん。今日はどこに行くの?」  商店街の店と店の間にある隙間の奥で生後まもない子猫とその親猫がいた。元は白猫だったのだろうが、今は灰色と同じぐらい汚れてきって、二匹の体は所々骨が浮き出るぐらい痩せ細っている。 「今日は遠くまで行ってくるからいつもよりちょっと遅くなるかもしれないけどおとなしく待っていられるかい?」 「うん。でもできるだけ早く帰って来てね?」 「わかってるよ。じゃあ行ってくるね」  親猫は子猫を一度だけ心配そうに見つめると商店街に走り去っていった。
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