ちょっと疲れた

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ちょっと疲れた

俺は変な神様達と別れた後、心身共に疲れ切って帰路についた。 「お帰り。 なんだ、本当に早かったのね」 笑いながら母親が迎え入れてくれる。 普通って素晴らしい! すべてを忘れられそうな雰囲気だ! 「なんだ、兄貴帰ってきたの? 勉強の邪魔になるから、うるさくしないでよね」 弟が子憎たらしい口調で話しても、今は全然気にならない! 「わかっているとも、弟よ!按ずる無かれ、俺は大人しく自室に籠もってテレビを見るからな!」 「・・・兄貴?頭打っておかしくなったのか?」 弟が心配そうな顔で、俺を見つめてくる。 そんなに見つめるなよ、惚れちまうぜ? 「何をバカな事を言ってるの、もうご飯だから手伝いなさい」 「だってお母さん、兄貴ちょっと変なんだもん」 「変なのはいつもの事でしょ?ホラ、お箸と取り皿持っていって!」 弟はぶつぶつ言いながら、箸と取り皿を配り始めた。俺を横目で見ながら。 弟は俺と全く似ていない。 整った顔立ちに、細い手足。 頭は学校一だ。 だけど、天然。 萌えでしょ!? 俺が下らない事を考えてる内に、テーブルには素晴らしく旨そうな食事が並んだ。 「おっ!すごいな! どうしたの?」 「退院祝いだよ。 あんたが今こうやって笑ってられるのも、奇跡みたいなもんなんだから」 んな大袈裟な・・・ と言おうとして、医者の言った事を思い出した。 "心停止が四回もあった" 改めて俺は危なかったんだと実感し、背筋がゾクゾクした。 「次郎もね、すごい心配してたのよ? 話とたんに、慌てちゃって泣いたんだから」 弟はそんな事ないとか言いながら、下を向いている。 「そっかぁ・・・本当にごめんな。 心配かけちゃったな」 「べ、別にオレは心配なんかしてないし。 まっ、怪我も軽くて良かったね」 ただいまーと声が聞こえ、親父が帰ってきた。
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