ちょっと疲れた

2/8
前へ
/136ページ
次へ
「太郎、退院おめでとう!良かったなぁ、軽い怪我ですんで。 おれは心配で心配で・・・」 言いながら親父は涙ぐんでいる。 「お父さんってば・・・ ビールでも飲みますか?」 お袋が優しく、親父に話し掛ける。 俺、生きてて良かった。 変なもんが見える様にはなったけど、命があるだけ儲けもんだよな。 ・・・会社もクビになったけど。 やっべー・・・ お袋怒るかなぁ・・・ 「・・・あのさ、お袋と親父に言わなくちゃいけない事があるんだけど」 お袋と親父は揃って怪訝そうな顔をして、 俺を見た。 「あのさ・・・会社クビになっちゃったんだよね。 新しい仕事見つけないといけないんだ」 それまではちょっと迷惑をかけると思うと言うと、 夫婦揃ってなーんだとゆう顔をした。 「そんなの、気にしないのよ。 あんたの入院が長引いたと思えば、なんともないわよ」 「だからと言って、毎日遊んでたらダメだぞ? まずは、怪我を治すのが先だ」 「そうだね。 どっちみち兄貴みたいな適当な人間は、あの会社には合わなかったんじゃない?」 ・・・俺、この家に産まれて良かった。 こんな良い家族滅多にいねぇよ。 怪我をしてるので、ビール一杯だけ親父に付き合って、自室に戻った。 ・・・カチャ ドアを開けると、見たくない風景が広がっていた。 「お帰り!」 「ボーズ、先に飲んでるぞ」 「お邪魔してます」 「今晩は」 今日、昼間みた悪夢が俺の部屋で再び起きていた。 「お前ら何やってんだよ!? 人の部屋で宴会やってんじゃねえよ!」 「良いじゃない。 だって店で飲む事できないし」 「っざけんなよ! どうやって場所掴んだんだよ?」 「内緒!ほら、誰か来たみたいよ?」 ノックしてから、弟が顔を出した。 「兄貴!騒ぐなっつってんだろ? なんで1人でそんなに騒げるんだよ?」 「ごめん、ごめん。 ちょっと・・・叫びたくなって」 ったく、勘弁してくれよ!と文句を言った後、弟はバタンとドアを閉めて出ていった。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加