俺、主人公

3/4
137人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
「こんなに出たの久しぶりだなー」 今日は奮発してキャバクラ行ってから、ソープコースだなコリャ。 「太郎くんいっぱい出てるわね?ちょっと私にも回してよぉ」 「あれ?小学校の昌子先生?なんでここに?」 先生はプニプニした唇を 俺の耳元にくっつけ、とろけそうな色っぽい声で囁いた。 「そんな事どうでも良いじゃない・・・ 二人で良い所にイキましょ?」 「え?そんな、だめですよ」 あ、あ、あーー! ・・・ ・・・・ ・・・・・ 「もうダメだ!」 ガバッと体を起こすと 足と腕に激痛が走る。 「いってー!何だよ良いトコだったのによぅ・・・ てかここどこ?」 目が覚めたら病院だった。ありきたりだね。 病室は個室だ。 テレビが備え付けてある。花瓶には花が生けてあった。 外はセミと小学生の声が混じって、騒がしい事この上ない。 「おいおい、窓開きっぱなしじゃねーか」 そんな事をぶつぶつ言ってたら、病室の扉が開いて母親が入ってきた。 「太郎起きた?良かった・・・」 言うなり母親はヨヨヨと泣き出した。 ちょっと笑える泣き方だな・・・ 「お袋?泣くなよ。 俺、全然元気だよ?」 「何言ってるのあんた。 頭を強く打って、一週間も目を覚まさなかったのよ?」 ゲッ!マヂかよ?そんなの漫画の世界じゃねーか。 そんなに寝てたのかー・・・ 「取り敢えず、お母さんは先生の所に行ってくるから。おとなしくしててよ?」 「わかった。テレビ見たいんだけど・・・」 「まったくもう・・・起きたらすぐにテレビだなんて。 カード入れておくから。はい、リモコン」 母親はぶつぶつ言いながら病室を出た。 やっぱり俺、母親似なんだなー。 暗い所とか。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!