日蝕

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「はぁ…」 喫茶店から出てきたギコはため息をついた。そして目の前にあった公園へ歩いていく。中央の大木の周りのベンチに座った。 今更ながらなぜあんな夢を見たのか、単なる夢なのか…そしてあの声───間違いない。しぃの声だった。 聞いたのはぶつかった時だけだったが夢で聞いた声は耳奥にこびりついて離れてない。 あと気になるのが──… ギコはふと空を見た。そして目を疑った。 「…嘘だろ。」 あの日見た夢─今でも鮮明に覚えているのは、声と─ 日蝕だ。太陽にじわじわと黒い影がかかっていく。 まだ全て重なってはいない。 あの夢では重なってしまっていた。 (…なにか嫌な予感がするな…取り合えずフサ達のところへ帰るぞゴルァ。) そう思い急いで喫茶店に向かっていった。 途中すれ違った藍色のネコ。空を見上げて、不適な笑みを浮かべながら…呟いた。 「ふ…もうすぐだ…」 そう言うと姿を消した。
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