187人が本棚に入れています
本棚に追加
二人はしばらく夢中で走った。が、トンネルの前でいきなりギコが足を止める。
「なぁ…しぃ…方向ってこっちで合ってるよな?」
衝撃的な発言でしぃはポカンとした。
「えっ!?合ってるけど…もしかしてギコ君…直感で走ってたの?
」
「…あぁ。」
なんと奇跡的にも向かっていた方角は出口の方向で合っていた。
「よしっ、じゃあ行くか!」
しぃを励ますように元気よく言ったが、しぃはやはり浮かない顔だ。ギコは対応に困った末、しぃの手をとり、二人はまた走り出した。
「…」
「ギコ君…」
しばらく無言だったギコは握っていた手にギュッと少し力を込め、前を向いて走りながらもしぃに言う。
「…何があっても必ず君を護るから!」
しぃはハッとギコの必死な横顔を見た。その言葉はしぃの胸に響く。そして少しうつむき、黙ってギコの手を握り返した。
最初のコメントを投稿しよう!