少女誘拐事件

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玄関の前には、 ローラが手入れをし色とりどりの 表情をみせる花壇がある。 作業の途中なのか、 花壇の隅に肥料の袋。 除草作業にでも使うのだろうか、 鎌が土に刺さって立ててある。 我を忘れたローラは、 その鎌を手にし 振り上げながら叫んだ 「さぁ!言いなさい! 私の娘は、ドコなの? 私は、本気なのよ! 言いなさい!!」 ローラの叫び声と同時に 雨が更に激しくなる。 雷は近付き今までとは 比べものにならないくらい 大きな音をたてる。 まるで、 ローラが呼び起こしたかの様に ローラの声に反応する。 「冗談だろ? 俺は、何も知らないぞ…!」 エドワードは、 手を前に出し後ろに 少しずつ下がりながら言う。 「絶対に言わないつもりなのね? だったら力ずくでも、 その車を開けさせてもらうわ! ぁあ゙ぁぁぁ~!!」 叫びながら鎌を振り上げ エドワードに近付く。 その言葉にエドワードは、 今までの表情とは違う 必死な表情を浮かべた。 (やっぱり車の中に…) ローラは思った。 更に 燃える気持ちをぶつけた。 いきなり エドワードに向かって 鎌を振り下ろしたのだ。 間一髪の所でかわしきった。 鎌は、虚しく空中を切り裂いた。 狂った感情を露にするローラは、 鎌を四方八方に 振り回しながら エドワードに近づいた。 「あ゙ぁぁぁぁ!」 叫び声がしたと思ったら すでに遅かった。 エドワードは、右腕を押さえた。 本当に当たってしまった事に 驚き一瞬、怯んだが 再び娘の顔が浮かんできたローラは 動きの止まった エドワードを仕留めようと 渾身の力を込め 鎌を振り下ろした。 鎌は、思いっきり 左足の大腿直筋を引き裂いた。 履いていたスボンは、 ボロボロになり皮膚は、 パックリと割れ 内側から捲れあがり、 大量の血液が吹き出す。 傷口を抑え 血液で染まるエドワードの掌。 血液の隙間から ズタズタになり顔を出す筋肉は、 まるで腐敗した 生肉のようだった。 そのままエドワードは、 叫びながら倒れてしまった。 その光景を見て 我にかえったローラは、 叫びながら鎌を捨てた。 再び娘の顔が脳裏に過った。 エドワードの車の中を調べようと 車に駆け寄る。 ローラが後部座席のドアに 手をかけた瞬間。 「やめろぉぉぉー!」 エドワードの怒鳴り声。 それにビックリしたローラは、 エドワードの方を振り向いた。 雨で視界が悪いため 薄目で見つめるローラ…。 何かがコッチに向かってくる。
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