彼を上回る彼女の存在。

2/4
前へ
/85ページ
次へ
「ばかもん、令状無しで被疑者のガサ入れに行く警察が何処におるんだ」 『令状なら取れて、だから先手を打っただけ』 署内に響き渡る部長の怒りの声はすっかり当たり前になってしまい誰も驚きはしなかった。 「何が先手だ、毎回、毎回、お前という奴は。上手くいくからいいものを」 『始末書、書けばいいんだろ?』 「くっ久遠」 『こら、また部長虐めて。部長、この馬鹿には私が責任持って反省させますから』 「まりあ君、もうわしには無理だ。君だけが、君だけが頼りだ」 『げっ』 俺と部長の会話に割り込んできたこいつは坂下まりあ、俺とは学生時代からの腐れ縁。 『゙げっ゙って何かな?千明?』 『別に、俺は行くぜ』 『待て、千明。部長、ちゃんと始末書出させますから。失礼します』 「頼んだよ、まりあ君」 まるでまりあから逃げるように俺はその場を離れた。 別にまりあが嫌いではない、ただ苦手だというより調子が狂う。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加