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「ほら、まりあも」
いつまで経っても埒があかないぐらいに頭を下げていた二人が急に笑いだしたかと思えばぐいぐい押し出されるように女の子が現れ俺は視線を戻した。
『さっ…坂下まりあです』
緊張している様子でオドオドしているまりあを見ながら俺は面白いと思い、近づくとまりあの手を掴み掌に持っていたモノを置いた。
『やる。』
『あっありがとう、嬉しい。何かな…………えっきゃああ』
手を離すとまりあは嬉しそうに俺が渡したモノを確認するよう掌に視線を落としたのも束の間キンキン響く悲鳴に変わる。
俺が渡したゴム製品のバッタの玩具に悲鳴をあげ涙目のまりあを見ながら俺は笑った。
『ばーか、ゴムだろ?お前、面白いな…俺、千明。』
「馬鹿はあんただよ」
俺の脳天に再び母親のげんこつが落ちたのは言うまでもない。
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