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俺とまりあの距離は徐々に広がっていた。
いや俺が勝手に切れて勝手にあいつを突き放しただけなんだけど。
『ねぇ、ちーちゃん?』
『何だよ?』
一緒に朝、学校に行かなくなった。
だか夜は危険なので一緒に帰ることにしていた。
いつものように前を歩く俺にまりあが何か言いたげに話し掛けて来たから俺は足を止めて振り向いた。
『ちーちゃん、好きな子いる?』
『別に…興味ねえし』
『そっか…。』
躊躇いがちにまりあの口から紡錘がれた言葉に返した俺の言葉は紛れもなく本心。
なのに、悲しそうにまりあが笑った気がして俺はまた歩き出した。
『ちーちゃん…ちーちゃんにとってあたしって…友達だよね?』
『友達つうより手のかかる妹。じゃあな』
まりあを家の前まで送って帰ろうとするとまりあは小さな声で俺の足を再び止めた。
俺は振り返らずに答えてそのまま家に帰った。
俺の言葉に泣きそうな顔をするあいつを見たくなかったから、俺は多分振り向かなかった。
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