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その日から余計にギクシャクしてしまった俺とまりあの関係。
俺は放課後、手紙で呼び出され校舎の北側にある階段踊り場にいた。
『…面倒くさい』
正直、付き合うとか好きとか嫌いとかあの頃の俺にはどうでも良かった話で、呼び出した相手を待ちながらそんなことをぼやいてた。
呼び出した相手の顔も朧気であまり明確に覚えてはいないが三年で可愛いと言われてた女だった。
「突然、ごめんね?年下とか本当は全然、興味無かったんだけど久遠君は何ていうか他の一年生と違うっていうか、良かったら付き合わない?」
自信ある女の告白だと思った。
大方、男に振られたことなんて無いんだろうななんて考えたりした。
相手のどうでもいい告白に耳を傾けながら早く解放されたくてしょうがなかった。
どうせ断るしなんて思いながら俺を見ていない相手を他所に俺は視線を窓の外に移した。
『先輩…本気?なら教えてよ?女つうやつ』
俺は視線を相手に戻すと微笑みながら相手に近付き力業で唇を塞いだ。
俺の気を変えたのは先輩ではない、まりあが男と抱き合っていた。
ただそれだけ、あいつにとってはこの女のように俺じゃなくてもいいのかと馬鹿らしくなった。
俺も正直、この時は誰でも良かった。
この訳の分からない苛立ちを鎮めてくれる相手なら。
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