その男、警察官。

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平和な国、日本。 しかし、全く犯罪がない訳じゃない、むしろ昔より更に凶悪化している。 「お兄さん、ほら、例の物持って来たよ。末端価格、30万でどう」 『へぇー本当に持ってくるなんて…』 潰れた店の店内には二人の男の影、一人は明らかに10代そこそこの若者。 もう一人は黒いスーツを身に纏った身なりのいい20代位の男。 差し出された白い粉が入った袋を受け取り少し開くと舌先で中身を確認する、麻薬特有の独特な味が広がる。 「どうだい?早く金くれよ、約束だろ?」 『その前にこんなのどこで手に入るんだ?』 せがむ男を制止しながら袋を自分の視界より高くあげ見上げた。 「そんなのどうでも…」 『どうでも良くねえんだよ、それがな…』 不満げな表情をしながら言葉を濁す男の鼻先に黒く重たい銃口が向けられた。 「ひっ…あんた」 『ここにでっけえピアス穴開けたくなきゃ案内しな』 怯える男を見ながら不敵に笑った男。
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