その男、警察官。

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都心部に位置する雑居ビル、現在、こういう雑居ビルに社名を掲げた暴力団が入居していることも珍しくはない。 『邪魔するぜ』 「あっ、兄貴」 先ほどの若者を捕まえたまま入り口を蹴破り堂々と社内に入る男、悪びれず若者を捕まえたままソファーに座る。 「竜、何者だ、貴様」 明らかに敵意剥き出しの社員を装った組員に男は口端をあげ笑った。 『どんなに堅気装ったところで染み付いたヤクザは抜けねえよな、俺は下っぱなんて用はねえ』 「なんだと!」 「やめろ、お前等」 血の気の上った組員を一言で制した初老の男性、この組員の首領(ドン)柳誠一郎(やなぎせいいちろう) 「若造、話ならわしが聞こう」 『ようやくボスのお出ましか、話は簡単だ、この物を売りさばいてるのはお前等だな?どこから買ってる?』 威風堂々と男の前に座る柳をものともせず先ほど手に入れた麻薬の袋をテーブルに投げた。
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