3087人が本棚に入れています
本棚に追加
スポーツバッグを肩にかけた男の子が、屈んで足元の紙を拾う。
「ごめんなさい、それ、落としちゃって…」
謝りながら階段を駆け降りて行くと、男の子がこっちを振り向いた。
「いえ、大丈夫ですよ。どうぞ。」
「ありがとう。」
差し出された紙を受け取ろうとすると、男の子が何故か私の顔をじっと見つめてきた。
「???」
な、何だろう…?
しばらく私の顔を見た後、今度は持っている紙を見つめだした。
「…あ、あの‥?」
戸惑う私に気付いたのか、男の子が顔を上げた。
「あぁ、すみません。はい、これ。」
にこやかに紙を差し出され、怖ず怖ずと受け取った。
私、何かしたのかな‥?
「それじゃ、失礼します。」
ペコリと一礼して、
男の子は階段を下りて行った。
‥一体何だったんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!