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随分、奥までやって来ました。
川が見えても、橋なんて見当たりません。そっと石の上を飛び越えて、向こう岸へ行きます。
今度は大きな岩が目の前をふさでいます。引き返そうとしますが、しかし向こう側へも行きたくて諦め切れません。
「どうしたら…。」
サラが考えていると、誰かが自分を呼んでいることに気が付きました。
「サラ。サラ。」
「だあれ?」
「ここよ。サラ」
この島でサラのことを知る人はパパしかいないはずなのに。それに、女の人の声のよう。
「サラは声の方を一生懸命探します。
「ここよ。サラ、私、メイよ。」
サラは、ぱっと腕に抱いているメイを見ました。
でも信じられません。
だって、メイはうさぎのぬいぐるみなのに。
「今の声、本当にメイなの?」
「そうよ。サラ!」
今度ははっきりメイがしゃべっているのを見ました。
腕をぱたぱた、耳をぴこぴこ動かしたりもしています。
「わあ!私、メイの言葉が分かるわ。」
サラはとても喜びました。
「サラ。この島は不思議な力があるみたい。私もサラと話せて、嬉しい。ずっとこうして話したかったの。」
「私もよ。メイ大好き!」
「サラ、私もサラのこと大好きよ。」
メイは、サラと手をつないで歩きました。
メイは岩の後ろに小さな抜け道を見つけました。
サラも後に続きます。
ふたりはどんどん奥へ入って行きました。
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