6/8
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
随分、奥までやって来ました。 川が見えても、橋なんて見当たりません。そっと石の上を飛び越えて、向こう岸へ行きます。 今度は大きな岩が目の前をふさでいます。引き返そうとしますが、しかし向こう側へも行きたくて諦め切れません。 「どうしたら…。」 サラが考えていると、誰かが自分を呼んでいることに気が付きました。 「サラ。サラ。」 「だあれ?」 「ここよ。サラ」 この島でサラのことを知る人はパパしかいないはずなのに。それに、女の人の声のよう。 「サラは声の方を一生懸命探します。 「ここよ。サラ、私、メイよ。」 サラは、ぱっと腕に抱いているメイを見ました。 でも信じられません。 だって、メイはうさぎのぬいぐるみなのに。 「今の声、本当にメイなの?」 「そうよ。サラ!」 今度ははっきりメイがしゃべっているのを見ました。 腕をぱたぱた、耳をぴこぴこ動かしたりもしています。 「わあ!私、メイの言葉が分かるわ。」 サラはとても喜びました。 「サラ。この島は不思議な力があるみたい。私もサラと話せて、嬉しい。ずっとこうして話したかったの。」 「私もよ。メイ大好き!」 「サラ、私もサラのこと大好きよ。」 メイは、サラと手をつないで歩きました。 メイは岩の後ろに小さな抜け道を見つけました。 サラも後に続きます。 ふたりはどんどん奥へ入って行きました。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!